新型コロナウイルスの大流行が浮き彫りにした学術コミュニケーションの欠陥(記事紹介)

2020年03月11日

ヨーロッパ

LSE(London School of Economics and Political Science)は、3月5日、"The Coronavirus (COVID-19) outbreak highlights serious deficiencies in scholarly communication"と題する記事を公開した。

本記事は、新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行に伴い、Wellcome Trustの声明およびそれに対する出版社や助成機関などによる署名という肯定すべき取り組みもあるとしながらも、社会のニーズに応えるには遠く及ばないと指摘。

事例として、1960年後半から出版されたコロナウイルス関連論文の半分以上が自由にアクセスできない状態となっていることや、ウイルス学以外あるいはコロナウイルス関連以外の論文が新たな知見の獲得に貢献しているにもかかわらず埋もれてしまっていること。とりわけ危機的状況下において、支払いの壁(paywall)と英語を主体とする国際ジャーナルへの偏りが、地域コミュニティーへの普及を阻み、最前線にいる医療提供者や政策立案者の情報へのアクセスを阻害していることなど、新型コロナウイルスによって学術コミュニケーションの欠陥が浮き彫りになったと批判している。

[ニュースソース]

The Coronavirus (COVID-19) outbreak highlights serious deficiencies in scholarly communication ― LSE 2020/03/05 (accessed 2020-03-10)

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