Natureは、11月8日、"Scammers impersonate guest editors to get sham papers published"と題する記事を公開した。
本記事は、出版プロセスを悪用し、質の低い論文や意味の通らない論文を既存の査読ジャーナルに掲載する悪質行為および、Elsevier社などによるジャーナル記事の撤回を紹介したもの。
多くのジャーナルが特定のトピックに焦点を当てた特集号を発行している。そのような特集号では当該研究の専門家であるゲスト編集者が監修することが多いため、科学者を装った人物がゲスト編集者を申し出て、偽の論文で特集号を埋めるケースがあるという。Elsevier社は出版済みの165件の論文を撤回し、今後さらに論文300件を撤回するという。Springer Nature社も、同社の特集号に掲載された62件の論文を撤回した。専門家は、ほかの出版社もだまされたことに気づき、今後調査が行われるだろうと予想している。
記事では2016年のHindawi社の事例から、最近の事例までを紹介。最近は、中国の機関に所属する著者によるものが多いという。
記事では、研究者がキャリアを継続するために論文を発表しなければならないことや、特定のジャーナルに発表し学術界にとどまりたいことなどが原因ではないかと示している。
Springer Nature社は対策として、特別なチェックの実施、意図的なシステム操作を特定できるAI(Artificial Intelligence、人工知能)ツールの開発、他社と共有するための不正行為の証拠集めなどを行うという。
[ニュースソース]
Scammers impersonate guest editors to get sham papers published ― Nature 2021/11/08 (accessed 2021-11-11)