COAR(Confederation of Open Access Repositories、国際オープンアクセスリポジトリ連合)は、11月17日、Springer Nature社が10月に発表したホワイトペーパー"Going for gold: exploring the reach and impact of gold open access articles in hybrid journals"に対する意見を表明した。
本ホワイトペーパーは、同社のハイブリッドジャーナル1,262誌に掲載された6万567論文におけるOA(オープンアクセス)論文と非OA論文の影響について分析し、被引用数によってインパクトを、 論文のダウンロード数とAltmetric Attention Scoreに反映された注目度によってリーチを測定したもの。
COARは、ハイブリッドジャーナルに掲載されたOA論文は非OA論文に比べてインパクトや利用率・リーチが高く、これに対応するグリーンOAの効果は見られないという本ホワイトペーパーの主張に対し、科学的な厳密さと再現性に欠けると述べている。
根拠となるデータを詳しく調べると、リポジトリにおけるOA論文の利用統計が含まれていないため、リポジトリベースのグリーンOAの利用と影響を正確に把握できないこと、リポジトリ版の論文の利用パターンを比較していないため、OA出版版がリポジトリのOA版よりも利用率が高いと主張できないことなどを説明している。
また、本ホワイトペーパーで提唱されているVoR(Version of Record)に関する考え方が時代遅れで、プレプリントや出版社版などを比較した研究ではこれらのバージョン間でテキストに実質的な違いはほとんどないことがわかっていると述べている。
[ニュースソース]
Going for Gold, or Gold Diggers? ― COAR 2021/11/17 (accessed 2021-11-22)
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2021年11月01日 Springer Nature社、ハイブリッドジャーナルにおけるゴールドOA論文のリーチとインパクトに関するホワイトペーパーを公開