バイデン政権の2023会計年度における科学分野の予算増加は実現困難か(記事紹介)

2022年04月04日

北米・中南米

nature誌は、3月28日、"Biden bids again to boost science spending -- but faces long odds"と題する記事を公開した。

本記事は、バイデン政権が2023会計年度において、公衆衛生と気候変動対策に重点を置き約2,000億ドルの研究開発の予算を要求したが、インフレやウクライナ情勢に伴う経済の先行き不透明感の高まりによる科学分野のプライオリティー低下から、その実現が困難な見込みであることを伝えている。

公衆衛生では、将来のパンデミックと生物学的脅威に備えるために5年間で総額約817億ドルの疾病対策予算を計画。そのうち1/3以上がCDC(Centers for Disease Control and Prevention、米国疾病予防管理センター)に充てられ、NIH(National Institutes of Health、米国立衛生研究所)についても大幅な予算増を要求しているが、プロジェクト予算が大部分を占め経常的予算が少ない点やNIHの官僚主義・保守的な姿勢について疑問を投げかける関係者の意見も紹介している。

気候変動対策では、DoE(Department of Energy、米国エネルギー省)にクリーンエネルギー研究開発関連経費として191億ドルが配分される。しかし同時に、Build Back Better bill(ビルド・バック・ベター法案※)のための資金も要求しており、共和党だけでなく一部の民主党議員も反対しているため、民主党内のコンセンサス作りがカギとなるとしている。

このほか、NSF(National Science Foundation、米国立科学財団)やNASA(National Aeronautics and Space Administration、米国航空宇宙局)の予算の増額についても伝えている。

※人的投資や気候変動対策を盛り込んだ民主党政権提案の10年間2兆ドル規模の法案

[ニュースソース]

Biden bids again to boost science spending -- but faces long odds - nature 2022/03/28 (accessed 2022-03-31)

[小欄関連記事]

2022年04月01日 NSF、米政府の2023会計年度予算教書を歓迎すると発表