モノグラフのOA化を図る出版モデル"D2O"。その背景・メリット・モデルの概説(記事紹介)

2022年07月28日

北米・中南米

NDL(National Diet Library、国立国会図書館)は、7月25日、カレントアウェアネス-Eに「E2518 - D2O:大学出版局と図書館の連携による学術単行書のOA化モデル」と題する記事を公開した。

本記事は、MIT (Massachusetts Institute of Technology、マサチューセッツ工科大学) PressがArcadiaからの資金援助を受けて2021年3月に開始した、"D2O(Direct to Open)"※について紹介したもの。

本記事は、モノグラフの出版を支えてきた図書館の予算削減などによりその出版数が減少する一方で、研究成果の発信・利用媒体としての重要性が高いことが、同モデルへの転換の背景であることを説明。同モデルへの参加により、MIT Pressの過去の出版物へのアクセスと電子書籍の割引購入が可能になることや、目標額に達した場合、年間約90冊の新刊専門書のOA(オープンアクセス)化が実現することなどを紹介している。

また、同モデルの公正さを担保するための事項、成功基準、設計基準、ロジック、他のモデルとの位置づけのほか、同モデルが今後のマーケットの反応などによって修正可能なオープンモデルであることも示している。

そのほかに、図書館側の手続きが簡単になった、コレクションポリシーの再検討が可能になった、新たな出版社とパートナーシップを築けたなどといった図書館関係者のコメントを紹介。京都大学が実施した人文・社会科学系研究者による書籍をOA化する事業なども示している。

※図書館が共同でOAモノグラフに出資する出版モデル。1つのコレクションの1タイトルを購入する従来の出版モデルではなく、参加費を1度だけ支払い、モノグラフをOA化する。

[ニュースソース]

E2518 - D2O:大学出版局と図書館の連携による学術単行書のOA化モデル ― NDL 2022/07/25 (accessed 2022-07-26)

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