COVID-19パンデミックが浮き彫りにしたオープンサイエンスの実態(記事紹介)

2023年06月09日

北米・中南米

PLOSは、6月5日、"The pandemic showed scholarly publishing a better path forward"と題する記事を公開した。

本記事は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックが、オープンサイエンスに関して学術界や学術出版業界に与えた影響について、2023年のUN(United Nations、国際連合)の"Open Science Conference"での発言内容を抜粋・編集したもの。

これまでペイウォールのためにアクセスできなかった情報にアクセスできるようになったこと、プレプリントなどのオンライン共有が普及したことなど、パンデミックがオープンサイエンスにブレイクスルーをもたらしただけでなく、従来の研究手法や共有に関する欠陥があらわになり、世界規模でのオープンサイエンスの必要性が示されたことを示している。

一方、科学や専門知識に対する信頼の低下など、パンデミックが浮き彫りにした学術出版の課題を示している。この要因として、科学の知識がない一般の人々の理解不足が挙げられ、研究結果をアクセスしやすい方法で公開することが解決策だと述べている。

また、出版社の商業的利益が科学の価値を損ねているという懸念も示している。出版社は保守的なシステムで運営されており、ジャーナル編集者は明確な結果を伴う整然としたストーリーの論文の出版を好む傾向があるなどと述べている。

最後に、PLOSがこれらの課題を重大に受け止め、研究プロセスにマッチするより良い出版システムの構築に向けて、方法を検討していることを述べている。

[ニュースソース]

The pandemic showed scholarly publishing a better path forward -PLOS 2023/06/05 (accessed 2023-06-08)