データ共有に関する調査から浮き彫りになった、オープンサイエンスの実践を決定する3つの要因(記事紹介)

2023年09月01日

アジア・オセアニア 北米・中南米 ヨーロッパ 中東・アフリカ

LSE(London School of Economics and Political Science)は、8月22日、"A decade of surveys on attitudes to data sharing highlights three factors for achieving open science"と題する記事を公開した。

本記事は、DataONEのチームが実施した、データ共有に関する調査結果や、調査から明らかになった、オープンデータやオープンサイエンスに対する考え方の変化やオープンサイエンスの実践を決定する要因などについて述べたもの。

10年以上行われた本調査は、環境科学活動に携わる科学者・管理者・公務員を対象に、データ共有への意欲とデータ共有リソース(スキル、ツール、トレーニングなど)についての意見を世界規模で調査したもの。

その結果、データ共有への意欲が高いほど、国を越えたデータ共有のリソースに関する満足度が低下することがわかったという。これは、研究者はオープンサイエンスの実践に取り組むことでツールが不十分であることに気づくことを意味し、データ共有リソースの開発の前に研究者の意識を変えることが必要であることを示唆している。

著者は、研究者の意識を変える要因として「個人の認識」「社会的影響」「組織的影響」を挙げ、同要因が連動してデータの共有や再利用に対する意識に影響を与えることを、例を交えて説明している。

また、データ共有への意欲が高いのは米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドで、低いのはアフリカ・中東・アジア・東南アジアであり、これが調査期間中変わらなかったという。結論として、オープンサイエンスの実践に対する研究者の意識を改善する上で、政府の関与や資金提供など、組織的な影響が重要な役割を果たすと述べている。

[ニュースソース]

A decade of surveys on attitudes to data sharing highlights three factors for achieving open science - LSE 2023/08/22(accessed 2023-08-30)