NISTEP、「日本の大学で実施されている研究プロジェクトの分類とその成果物の傾向分析:研究のモチベーションに着目したアプローチ」を公表

2023年09月04日

日本

NISTEP(National Institute of Science and Technology Policy、科学技術・学術政策研究所)は、8月30日、「日本の大学で実施されている研究プロジェクトの分類とその成果物の傾向分析:研究のモチベーションに着目したアプローチ」(DISCUSSION PAPER No.225)を公表した。

本研究では、研究プロジェクトのモチベーションを基に研究プロジェクトを分類し、分類ごとの特徴と成果物の傾向の違いを明らかにし、日本の大学の研究プロジェクトの現状を把握する。そしてプロジェクトタイプに応じた効果的な支援を行うための示唆を与えることが目的。

2020 年度に同研究所が実施した研究室パネル調査によって、自然科学系の大学部局に所属する研究マネジメント権限を持つ教員を母集団としてランダムに抽出された2,028 件(分析対象1,951件)の研究プロジェクトを対象に、分析・検討を行っている。

分析の結果、外れ値となるモチベーションのプロジェクトを除き、対象の研究プロジェクトは13のタイプに分類された。さらに、「基礎原理の追求」と「現実問題の解決」の傾向を基に、5つのグループ「エジソン型:現実問題の解決を重視する研究プロジェクト」「弱パスツール型:基礎原理の追求と現実問題の解決の両方をある程度重視する研究プロジェクト」「ボーア型:基礎原理の追求を重視する研究プロジェクト」「パスツール型:基礎原理の追求と現実問題の解決の両方を重視する研究プロジェクト」「パスツール+教育型:パスツール型の特徴を持つのに加えて、学部院生の教育やポスドクのトレーニングを重視する研究プロジェクト」に分類した。

プロジェクトタイプ別の「モチベーション平均値とプロジェクト数の関係」「成果物の傾向」「財源種別」などの分析結果から、日本の大学の研究プロジェクトのモチベーションは多様であり、モチベーションに応じて成果物やプロジェクトの属性の傾向が異なるため、研究プロジェクトの成果物はそのモチベーションに応じて設定されることが望ましく、より多様な評価指標でプロジェクトの成果を評価することが必要であることなどが示されている。

日本の大学で実施されている研究プロジェクトの分類とその成果物の傾向分析 研究のモチベーションに着目したアプローチ(html

※以上、NISTEP (accessed 2023-09-01)

[ニュースソース]

日本の大学で実施されている研究プロジェクトの分類 とその成果物の傾向分析:研究のモチベーションに着目したアプローチ[DISCUSSION PAPER No.225]を公開しました - NISTEP 2023/08/30(accessed 2023-08-31)

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