IPLC(Ivy Plus Libraries Confederation)は、11月9日、ACS(American Chemical Society、米国化学会)が発表したエンバーゴなしで論文をグリーンOA(オープンアクセス)で公開できる新オプションで導入するADC(Article Development Charge)に反対する声明を発表した。
同会は、エンバーゴなしで論文をリポジトリに寄託する権利として、著者に2,500ドルのADCを請求することを発表している。
同声明では、ADC導入に反対する理由として、著者が自分の研究成果を自ら選択したリポジトリに保存する権利を阻害するものであること、ADCを支払い出版社版のOA化を希望しても、所属機関がACSとTA(Transformative Agreement、転換契約または移行契約)を締結していない場合は、追加でAPC(論文掲載料)を支払う必要があることを挙げている。
さらに、ADCの導入は、2022年8月に米国OSTP(Office of Science and Technology Policy、大統領府科学技術政策局)が発表した、連邦政府の助成を受けた学術出版物の即時公開および研究データ共有の強化に関する覚書の精神に反していると言及。ADCの導入は、同覚書が示している即時OAの要件を収益化し、著者が同要件を遵守するために機関指定のリポジトリに研究成果を寄稿することを妨げるものだなどと述べている。
IPLCに参加する全13機関が、同声明に署名している。
[ニュースソース]
IPLC Response to the Article Development Charge Proposed by the American Chemical Society - IPLC 2023/11/09 (accessed 2023-11-15)
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