日本における即時OA化の動き(記事紹介)

2024年07月11日

日本

ISC(International Science Council、国際学術会議)は、7月5日、"Open science round-up: June 2024"と題する記事を公開した。

これは、日本におけるOA(オープンアクセス)の進展について論説したブログ記事。

筆者はまず、日本のOAの現況について説明。日本では、2025年以降に公募を行う公的研究費による学術論文および根拠データについて、即時OA化の方針が示されたが、JST(科学技術振興機構)が運営する電子ジャーナルプラットフォームJ-STAGEに登載されている約3,700誌のジャーナルのうち、OAジャーナルはわずか6%であることを示している。

次に、日本のジャーナルで多く見られる、論文へのアクセスのために学協会に年会費を支払うモデルからの脱却について言及。日本では、一般的に学協会が論文の著作権を保有しているため、学協会がジャーナルのOA化を決定すれば、過去50年間に出版されたすべての論文にCCライセンスを一度に適用することができるなどと述べている。

さらに、2025年の即時OA実現の手段として、政府がトップダウン式で各大学や研究所に機関リポジトリの設置を命じ、グリーンOAで論文を公開することが考えられると言及。これについて、ジャーナルへの掲載の有無にかかわらず最終版の機関リポジトリへの登録を義務づけることが、日本の著作権法の精神に反することや、最終版の定義が曖昧であることなど、さまざまな問題があり、さらなる議論が必要であるなどと述べている。

[ニュースソース]

Open science round-up: June 2024 - ISC 2024/07/05 (accessed 2024-07-09)

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