科学技術情報流通技術基準

機関名の表記

Description of Name of Corporate Body




1.適用範囲

 この基準は,論文作成,一次資料中に参照文献を記述する場合,及び二次資料を作成する場合の機関名の表記に関し,原則と指針を与えるものである。機関名には,論文中で直接言及される機関名,著者所属機関名,出版者名,団体著者名・編者名等がある。



2.用語の意味

 この基準に用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。

(1)一次資料(primary source)

 論文、記事などを収録した雑誌、図書、電子出版物など。それらを編集、加工して作成した索引、抄録、目録などの二次資料と対比して用いる。

(2)機関名(name of corporate body)

 ある名称によって識別され,一つの実体として活動し,また活動しうる組織体の名称。組織体の典型的なものは公共機関,大学,研究所,企業,非営利団体,政府機関等である。

(3)省略(omission)

 機関名を構成する語の中で,一部の語を省くこと。

(4)団体著者(corporate author)

 資料の著作に責任ある団体あるいは機関。

(5)二次資料(secondary source)

 一次資料を編集、加工して作成した索引、抄録、目録など。その情報源である一次資料と対比して用いる。

(6)翻字(transliteration)

 ある言語を表記する通常の文字体系を,他の文字体系で表わすこと。ロシア文字(キリル文字),ギリシャ文字等からローマ字への翻字はISO規格及び標準報告書(TR)がある。漢字の読みのローマ字化は翻字に含めない。

(7)略記(abbreviation)

 機関名を構成する語の中で,全部または一部の語を短縮すること。

(8)ローマ字書き(romanization)

 ローマ字アルファベット以外の文字をローマ字アルファベットで表わすこと。ただし,本基準では日本語の読みをアルファベットで表わすことをいう。なお「翻字」を参照。



3.通 則

3.1 一般通則

 機関名を表記する場合は,原則として当該機関の使用する正式名称のとおりとする。機関名の表記は,日本の機関名と外国の機関名に区別して取り扱う。


3.2 日本の機関名の表記

(1)日本の機関名を和文で表記する場合は,略記してはならない。ただし,一部省略は行ってよい。

(2)日本の機関名を欧文で表記する場合は,原則として当該機関が定める欧文名称を使用する。


3.3 外国の機関名の表記

(1)外国の機関名を表記する場合は,原則として一次資料に表示されているとおりとする。

(2)ローマ字アルファベット以外の文字で表示されている機関名は,原則として当該文字で表記するが,翻字・ローマ字書きの国際規格に従って,ローマ字アルファベットで表記してもよい。




4.日本の機関名(和文名称)の表記法

4.1 上位機関名を有する場合の表記法

 機関の識別のために上位機関の名称を示す必要があるときは,上位から下位の順に機関名を表記する。ただし,当該機関であると識別できる場合に限り,一部を省略してもよい。(4.2参照)

4.1.1 官公庁等(政府機関,独立行政法人,地方公共団体等)

(1)機関内の局・部・会議等

 機関内の局・部・会議等は,その所属する上位機関名と当該局・部・会議名等を表記する。

例:政府機関会議1.内閣府総合科学技術会議
2.文部科学省研究振興局
3.経済産業省経済産業政策局調査統計部
独立行政法人4.独立行政法人水資源機構ダム事業部
地方自治体5.東京都健康局医療サービス部
6.北海道環境生活部
7.大阪府立中之島図書館司書部

(2)附属機関(教育機関等を除く)

 附属機関は,その機関の位置付けが,上位の機関名を示すことによって明確になるとき,及び他の機関との識別が困難な場合は,上位の機関名も表記する。

例:政府機関1.内閣府経済社会総合研究所
2.総務省統計研修所
3.文部科学省科学技術政策研究所
地方自治体4.東京消防庁消防科学研究所
5.北海道立中央農業試験場
6.大阪府立公衆衛生研究所
独立行政法人7.独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所
8.独立行政法人物質・材料研究機構超伝導材料研究センター
9.独立行政法人産業技術総合研究所計測標準研究部門
病院10.厚生労働省国立国際医療センター病院
11.東京都立広尾病院
12.独立行政法人国立病院機構新潟病院


4.1.2 教育機関等(大学,短期大学,高等専門学校,大学共同利用機関法人等)

(1)学部,学科等

 学部,学科等は,その所属する学校名の後に,当該学部,学科等を表記する。

例:大学1.国立大学法人東北大学工学部
2.国立大学法人大阪大学大学院理学研究科
3.秋田県立大学生物資源科学部応用生物化学科
4.学校法人梅村学園中京大学情報科学部メディア科学科
短期大学5.学校法人産業能率大学自由が丘産能短期大学能率科第T部
高等専門学校6.独立行政法人国立高等専門学校機構北九州工業高等専門学校機械工学科
高等学校7.千葉県立千葉工業高等学校
大学共同利用機関法人8.大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所

(2)附置・附属機関(研究施設,病院等)

 学校の附置・附属機関は,当該機関が直属する学校名を付記する。

例:研究施設1.国立大学法人大阪大学産業科学研究所
2.学校法人東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所
3.国立大学法人東京大学医科学研究所
4.国立大学法人名古屋大学環境医学研究所
図書館5.国立大学法人京都大学附属図書館
6.国立大学法人京都大学医学図書館
病院7.国立大学法人東京医科歯科大学歯学部附属病院


4.1.3 公益法人関係(財団法人,社団法人,医療法人,特定非営利活動法人等の広義の公益法人)

 法人の部等は法人名を付記する。附属機関は当該機関が直属する上位の機関名を付記する。

例:財団法人1.財団法人機械振興協会技術研究所
社団法人2.社団法人化学経済研究所
3.社団法人中部電子工業技術センター
医療法人4.医療法人あかね会土谷総合病院薬剤部
特定非営利活動法人5.特定非営利活動法人生体機構制御研究会
研究組合6.太陽光発電技術研究組合
学協会7.社団法人日本化学会情報化学部会
共済組合8.国家公務員共済組合連合会東京共済病院

4.1.4 民間企業及びその他の機関

 企業,その他の機関内の部等は,その所属する企業,機関名を付記する。

例:企業1.富士ゼロックス株式会社技術企画部
2.王子製紙株式会社釧路工場
3.石川島播磨重工業株式会社呉総合事務所
附属機関4.武田薬品工業株式会社医薬研究本部化学研究所
5.新日本製鉄株式会社技術開発本部鉄鋼研究所
6.味の素株式会社ライフサイエンス研究所
7.株式会社日本経済新聞社診療所

4.2 機関名(和文名称)の省略

 論文作成における著者の所属機関名又は団体著者名としての機関名は,原則として正式機関名を表記するが,書誌データベース作成や,参照文献作成等の書誌参照においては,当該機関であると識別できる場合に限り,以下の方法により機関名の一部を省略してもよい。

 なお,以下の例において<>内の文字は,省略可能な文字であることを示す。


4.2.1 官公庁等

 独立行政法人の機関名の一部でもある「独立行政法人」という語は,当該機関であると識別できる場合に限り,省略してもよい。官公庁,独立行政法人,公共企業体等の附属機関名は,当該機関であると識別できる場合に限り,省庁名,法人種別及び法人名を省略してもよい。

例:政府機関1.<経済産業省>日本工業標準調査会
2.<資源エネルギー庁>原子力安全・保安院
独立行政法人3.<独立行政法人>宇宙航空研究開発機構
4.<独立行政法人宇宙航空研究開発機構>種ケ島宇宙センター
5.<独立行政法人労働者健康福祉機構>東京労災病院
6.<独立行政法人>都市再生機構総合研究所(*1)
   (*1)総合研究所のみでは,識別性に欠けるため,省略できない例。

4.2.2 教育機関等

 「国立大学法人」等の法人種別をあらわす語,「独立行政法人国立高等専門学校機構」及び大学共同利用機関法人名は,当該機関であると識別できる場合に限り,省略してもよい。

例:1.<国立大学法人>大阪大学医学部
2.<学校法人南九州学園>南九州大学園芸学部附属農場
3.<独立行政法人国立高等専門学校機構>北九州工業高等専門学校
4.<大学共同利用機関法人情報・システム研究機構>国立情報学研究所

4.2.3 公益法人等

 公益法人等であることを示す次のような語は,当該機関であると識別できる場合に限り,省略してもよい。

(イ)社団法人(ロ)財団法人(ハ)医療法人(ニ)特定非営利活動法人
(ホ)宗教法人(へ)社会福祉法人(ト)職業訓練法人(チ)監査法人
(リ)研究組合(ヌ)中間法人 

4.2.4 民間企業

 民間企業の機関名の一部である「株式会社」,「合資会社」等の語は,当該機関であると識別できる場合に限り,省略してもよい。

例:民間企業1.<株式会社>日立製作所
2.三菱電機<株式会社>
3.株式会社工業調査会(*2)
   (*2)工業調査会のみでは,識別性に欠けるため,省略できない例。


5.日本の機関名の外国語表記法

5.1 一般表記

 日本の機関名を外国語で表記する場合は,当該機関が定める正式名称を使用するが,当該機関が常用する名称を使用することもできる。

例:1.国立国会図書館:National Diet Library
2.農林水産省農林水産政策研究所:The Policy Research Institute of the , Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries
3.独立行政法人産業技術総合研究所:National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
4.独立行政法人理化学研究所:RIKEN(*3
5.社団法人日本精神神経学会:The Japanese Society of Psychiatry and Neurology
   (*3)独立行政法人理化学研究所の正式英文名

5.2 機関名の省略及び略記

 日本の機関の欧文名称は、「6.2 機関名の省略及び略記」に従って省略及び略記してもよい。



6.外国の機関名の表記法

6.1 一般表記

 外国の機関名を表記する場合は,原則として一次資料に表示されているとおりとする。この場合,一次資料に使用されている言語以外の言語に翻訳してはならない。一次資料に表示されている機関名が,ローマ字アルファベット以外の文字で書かれている場合は,原則として当該文字で表記するが,必要に応じて,「7.関連規格」に示した国際規格を参考にローマ字アルファベットで表記にしてもよい。


6.2 機関名の省略及び略記

 欧文機関名中の語句は,次に示す(1)〜(3)に従って省略及び略記してもよい。

(1)語句の省略及び略記については,略記法についての国際規格ISO832とISO4,及びISSN国際センターが作成する目録マニュアル「ISSN Manual. Cataloguing Part」と略語表「List of Title Word Abbreviations」に従う。省略・略記の例を下表に示す。

(2)国名及び都市名は,原則として略記しないが,その国自身で略語又は頭文字を使用し,一般にそれが使用されているもの,あるいは国際規格(ISO 3166-1)及び日本工業規格(JIS X 0304)に規定されている国名コードで表記してもよい。国名コード、頭文字の例を下表に示す。

(3)当該機関が用い,国際的に広く知られ,一般的に使用されている略語又は頭字語は使用してもよい。

例:1.IAEA(International Atomic Energy Agency)
2.ISO(International Organization for Standardization)
3.UN(United Nations)
4.UNESCO(United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization)
5.WHO (World Health Organization)




7.関連規格

7.1 全般

(1)JIS X0801:1989. 機関名の情報交換用表記方法. (SIST 06:1981 のJIS化).

(2)ISO 4:1997. Information and documentation ― Rules for the abbreviation of title words and titles of publications.

(3)ISO 832:1994. Information and documentation ― Bibliographic description and references ― Rules for the abbreviation of bibliographic terms.

7.2 翻字・ローマ字書きについての規格

(1)ISO 9:1995. Information and documentation ― Transliteration of Cyrillic characters into Latin characters ― Slavic and non-Slavic languages. (キリル文字).

(2)ISO 233:1984. Documentation ― Transliteration of Arabic characters into Latin characters. (アラビア文字).

(3)ISO 233-2:1993. Information and documentation ― Transliteration of Arabic characters into Latin characters ― Part 2: Arabic language ― Simplified transliteration. (アラビア語−簡略翻字).

(4)ISO 233-3:1999. Information and documentation ― Transliteration of Arabic characters into Latin characters ― Part 3: Persian language ― Simplified transliteration. (ペルシャ語−簡略翻字).

(5)ISO 259:1984. Documentation ― Transliteration of Hebrew characters into Latin characters. (ヘブライ語).

(6)ISO 259-2:1994. Information and documentation ― Transliteration of Hebrew characters into Latin characters ― Part 2: Simplified transliteration. (ヘブライ語−簡略翻字).

(7)ISO 843:1997. Information and documentation ― Conversion of Greek characters into Latin characters. (ギリシャ文字).

(8)ISO 3602:1989. Documentation ― Romanization of Japanese (kana script). (日本語かな文字).

(9)ISO 7098:1991. Information and documentation ― Romanization of Chinese. (中国語).

(10)ISO 9984:1996. Information and documentation ― Transliteration of Georgian characters into Latin characters. (グルジア文字).

(11)ISO 9985:1996. Information and documentation ― Transliteration of Armenian characters into Latin characters. (アルメニア文字).

(12)ISO 11940:1998. Information and documentation ― Transliteration of Thai. (タイ語).

(13)ISO/TR 11941:1996. Information and documentation ― Transliteration of Korean script into Latin characters. (韓国文字).

(14)ISO 15919:2001. Information and documentation ― Transliteration of Devanagari and related Indic scripts into Latin characters. (デーバナーガリー及び関連インド文字).

7.3 国名コードについての規格

(1) JIS X 0304:1999. 国名コード. (ISO 3166-1:1997 と一致).

(2) ISO 3166-1:1997. Codes for the representation of names of countries and their subdivisions ― Part 1: Country codes.




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