構造ゲノム学協議会(Structural Genomics Consortium、SGC)の会長は、2月16日、米国ボストンで開催された米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science、AAAS)の会合で、「共同研究、透明性、データ公開」が新薬開発に不可欠と発表した。
骨子は次のとおり。
・現在主流の医薬品研究開発は、特許を偏重し過ぎており(patent heavy)、重複研究や生産性の機会損失を生んでいる。
・国、研究機関、企業は、新薬開発に莫大な費用を使っているが、有望な薬剤10のうち、開発に成功して米国食品医薬品局(FDA)の認可が得られるのは一つ。過去7−12年間に新薬開発投資額は急増するも、成果は横ばいまたは低下。
・産業界は重大な問題に直面している。知財が創薬過程をダメにしている。
・構造ゲノム学は、産学官が連携し新構造データを研究者に開放すれば、創薬を助長する。特許取得よりデータ公開が創薬の生産性を向上させる。
SGCは、3次元タンパク質構造の解明・公表に携わる非営利団体。2004年に設立され、カナダ、英国、スウェーデンに研究センターがある。カナダ政府や大手製薬会社からのファンドにより、分子標的のバリデーションを加速中。