「カリフォルニア大学(UC)は、研究成果のオープンアクセス(OA)化を目指したが頓挫し、OAを義務化した米国初の大学になれなかった。ハーバード大はよくやった」。
UCデジタル図書館のJohn Ober氏は、6月28日、アメリカ図書館協会(American Library Association、ALA) 年次総会SPARCフォーラムで、このように語った。事の顛末は概ね次のとおり。
UCは、2004年、学術誌講読に関しエルゼビアと契約交渉を行った。その際、大学は大金を使っていることに気付いたが、地位を終身保証された教授陣たちは他人事と考え、行動様式を変えることはなかった。そこで学術コミュニケーション理事会(US Senate Committee on Scholarly Communication)が設置され、OA方針を立てることとなった。2006年、本質的にOAの学術著作権方針案が承認された。2007年1月、学長は11ある全キャンパスでの方針検討を要請。しかしながら、方針実施への懸念のため、2007年7月までに方針案は学長へ差し戻された。オプトアウトの3つの筋書きが複雑すぎたことに因る。現在、学内では、教授陣や図書館員等がOA先駆者であるハーバード大の事例も参考に、新方針を協議中であるが、理事会での議論は今秋まで持ち越されそうだ。
なお、関係者によると、ハーバード大が2008年2月にOA義務化に踏み切った背景にも、学術誌の価格高騰、学術誌マーケットの機能不全などがあるようだ。
[ニュースソース]
At SPARC Forum, News of the University of California’s Open Access Near Miss − Library Journal, 2008/6/29
[参考サイト]
UCLA出張報告(日本学術振興会)