インド:研究成果OA化必然論

2008年07月08日

アジア・オセアニア

インドのニュースメディアIndia PRwireは、7月4日、「オープンアクセスはインドの科学に大きく寄与する」と題した記事“Open access can vastly help Indian science”を掲載した。

英国サザンプトン大学教授でOA提唱者として著名なStevan Harnad氏や、バンガロールに本拠を置くCurrent Science誌編集局の話を中心に紹介したもの。

要旨は次のとおり。
インドは、
・科学研究への投資を最大活用し、オープンアクセス(OA)を通じて能力開発・促進に拍車をかけることができ、
・広範な研究成果へのアクセスを低コストで実現し、インパクトを与えることができ、
・機関リポジトリーが数多あり、ソフトウェアが無料なのでリポジトリー構築は安価だが、セルフアーカイビングが義務化されておらず、リポジトリーの大半は空っぽである。

学術誌は過去10年間に高騰した。豊かなWestでも多くの大学は必要なジャーナルの全てを講読するゆとりはない。ジャーナルがオンラインで入手できても、無料を意味しない。大学図書館は、高額の購読料を支払わなければならない。

世界では、大学、研究機関、助成金提供者は、研究者に対し、ピアレビュー誌掲載用論文オンラインドラフトを各々の機関リポジトリーにデポジットするよう要請し始めた。費用問題や著作権問題は生じないだろう。(この動向に乗れば)インドは、研究成果を全世界に発信し、世界の研究成果にOAできる。

インドの学術機関は、科学誌完備の図書館を運営するのは非常に費用がかかると認識している。インド最大の科学工学誌のリポジトリーをもつインド科学研究所でも、世界の他の図書館と同じく、図書館での講読を切り詰める。

親OA論は魅力的であり、激動の学術出版界に吹く新風である。

[ニュースソース]
The compelling argument for OA to Indian research – OPEN ACCESS NEWS 2008/7/4