Information World ReviewのTracey Caldwellは、英国図書館の新聞、書籍、論文、録音などのデジタル化プロジェクトにおいて最大の問題は、ソフトウェアやハードウェアではなく、著作権の問題だとしている。
EUでは著作権は、書籍・地図・絵画などの場合、著者の死後70年まで保護される。したがって、1900年に出版された書籍の著者が1938年まで生きた場合、著作権は未だに保護され、デジタル化には著作権者の承諾を得ることが必要となる。
米国では1923年以前に出版された書籍は全て著作権が消滅していると規定されているため、権利関係の整理が容易になっている。
英国図書館では、少なくとも著作権の存在する文献の40%が権利の所在が不明な著作物であると考えられている。そのため、英国図書館では、今後こうした著作物の取り扱いをめぐる制度が整備されていくことを望んでいる。
英国図書館館長の Lynn Brindley は、英国政府のStrategic Advisory Board for Intellectual Property(SABIP)のメンバーに指名され、今後意見を表明していく予定。
英国図書館では2005年からマイクロソフトと共同で2500万ページの書籍をデジタル化するプロジェクトを進めていたが、マイクロソフトは最近書籍をデジタル化する "Live Search Books" プロジェクトから撤退し、サイトも閉鎖することを決めた。英国図書館を含む書籍のデジタル化の成果は今後も Microsoft Live Searchを通じて提供されることは決定しているが、デジタル化された書籍だけが分割して検索に提供されることは無くなった。
また、このデジタル化プロジェクトにおけるコストの負担は、英国図書館とマイクロソフトで50:50だった、としている。
[ニュースソース]
・Scan and Deliver - Information World Review > News > Information management technology, 2008/07/11
・A Look at the British Library's Digitization Program's Copyright Challenges - DigitalKoans, 2008/07/13