トロントの医学者らが「製薬業界のプレス発表は改善を要する」とした調査報告書“Quality of Pharmaceutical Industry Press Releases Based on Original Research”を発表した。
この調査は、製薬業界での原研究の成果と、会合や医学雑誌で出されたプレス発表の内容(品質)を体系的に比較検討したもので、調査対象は、2005年に世界の製薬会社上位10社(市場占有率約90%)が出した1,028件の英文電子プレス発表。
主な結果は次のとおり。
・発表が多い分野は、心臓血管(20%)、腫瘍(20%)、HIV/AIDS(9%)。
・プレス発表の59%は、会合で発表したアブストラクト。
・約20%は査読誌発表論文を発表するも、38%は当該論文に十分にはふれず、21%はデータソースを明示せず。
・約76%は副作用についてふれるも、研究限界についての注釈があるのは6%、62%が予備段階の結果を報告している。
・約29%は研究成果を定量化せず。
これらより、「プレス発表は、医療情報をメディアに発信する一般的な媒体であるが、読者は、データは予備的なものであり、限界が特定されていないこと等に留意すべきである。またメディアによるミスリードを防ぐため、プレス発表の報道方法や解釈方法の改善が必要」としている。
[ニュースソース]
Press releases inadequate source for science reporting – OPEN ACCESS NEWS, 2008/8/26