論文査読での平等性確保のために -匿名の長短と改善策 (記事紹介)

2013年06月04日

北米・中南米

"Blind Peers:A Path To Equality In Scientific Peer Review?"(参考訳:匿名の同僚 - 論文査読における平等への道か)と題するSciLog 5月30日付記事を紹介する。

(概要)
論文査読における非対称性(asymmetry)(すなわち、論文の著者のアイデンティティは明かし、査読は匿名で行うこと)の長所は、査読者は率直な評価ができ、評価された側からの報復を避けることができることだ。短所は、著者の所属機関、同僚、競合者、性別などが明らかなため、査読にバイアス=えこひいきが生じうるということ。

この弊害を避けるため、二重盲検的(double-blind)査読(すなわち、査読段階では著者のアイデンティティを伏せておくこと)を実施しているジャーナルもあり、支持者も多い。

しかし、査読者は、なおかつ著者を推測できる。論文中のreferencesに著者や研究グループのprior workが挙げられているから。ただし、共著論文の場合、第一著者を推測するのは難しい。

論文発表には、匿名という非対称性の他、もう一つ非対称性がある。論文は掲載されるも、査読コメントは通常、掲載されないということだ。このため、査読がぞんざいになる恐れがある。

査読ではBlindnessより透明性(transparency)を強化するのが有効ではないか。論文発表後査読制を導入しているF1000Research誌では、論文をまず掲載し、その評価を査読者名入りで公開する。PeerJ誌は選択尊重(pro-choice)(すなわち、査読者は名前の公開・非公開を選択し、著者は査読コメントの公開・非公開を選択することができること)を導入している。

多くの研究者は、査読制度の改革を求めている。

[ニュースソース]
上述