研究員の新しい採用選考方法 - CVやIFのみに頼るな(Science記事紹介)

2013年09月05日

北米・中南米

"Beyond CVs and Impact Factors:An Employer's Manifesto"(参考訳:職務経歴書とインパクトファクターを超えて - 雇用者マニフェスト)と題するScience Careers 9月3日付記事を紹介する。著者は、テキサス大学サウスウエスタン医学センター・細胞生物学部長のSandra Schmid氏。

(概要)
学術誌のインパクトファクター(IF)で研究を評価するなという「サンフランシスコ研究評価宣言」(San Francisco Declaration on Research Assessment、DORA)に9,000名以上の個人と360以上の機関が署名しているが、それだけでは不十分だ。雇用者側が慣習を変えなければならない。

当センターの准教授募集時には約300名から応募があったが、時間と費用の都合上、面接するのは数名となった。

通常、選考は一般的かつ往々にして不十分な情報や、研究界で著名かどうかなどに基づく。詳細審査の前に、定形的な職務経歴書(CVs)でふるいにかける。全米で見られる光景だが、これでは本当に能力のある人が落とされてしまう - 情熱、忍耐力、創造力、冒険心などが分からない。

当センターでは次のように対応した。
★申請書類のカバーレターに4つの事項(大学院生としての最も重要な研究成果、ポスドクとしての最も重要な研究成果、当センターの研究プログラムに対する目標・ビジョン、目標達成に適任だという根拠(経験、資格))を簡潔に書いてもらう。
★細胞生物学部の教授全員がカバーレターを読み、これはと思われる候補者全員にビデオインタビューを行う。
★ビデオインタビューでは、候補者がCVに書いた実績や潜在能力などを伝える力を評価する。

こうして、高インパクト誌への論文掲載実績や受賞実績など書き連ねたCVのみによるふるい分けを排している。

[DORA関連小欄記事]
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2013年5月20日(月曜日) トムソン・ロイター、DORAを受けIFについて弁明 
2013年5月17日(金曜日) IF誤用是正に向け、研究者と雑誌編集者が連携(nature誌記事紹介)