SciELO、15周年 – 論文数増加も質向上が課題

2013年10月31日

北米・中南米

Nature誌の10月22日付記事"Brazil fêtes open-access site"(参考訳:ブラジル、OAサイトを祝す)を紹介する。

「SciELOはサービス開始15周年を迎え、今では無償で読めるラテンアメリカ誌中心の論文を年間4万件公開するに至っている」とし、その現状や関係者の声を紹介したもの。

(概要)
★SciELOは、欧米の研究者の認知度は低いが素晴らしいプロジェクトだ。
★ブラジルの2つの助成機関-サンパウロ研究財団"São Paulo Research Foundation"(FAPESP)と国家科学技術開発審議会"National Council for Scientific and Technological Development"(CNPq)-が年間300万ドル(3億円相当)を助成。また、各国も自国ジャーナル運営費を援助。
★公的助成により、著者への掲載料課金は微少又は無し。このため、2011年にはブラジルの科学論文の43%がオープン。これは世界最高。因みに米国は6%。
★SciELOの将来は流動的。新興国で同種の公益ネットワークを呼び起こすか、商業OA出版社の割り込みで縮小するか。その方向性はラテンアメリカの学術コミュニケーションに大きな影響を与える。
★SciELOは、国際誌では受理されないような論文の出版経験の場も提供するも、引用は低く、質は変動する。
★SciELOのダウンロード数は一日に150万。影響度を利用度で評価すると違う姿となろう。SciELO Citation Indexは、トムソン・ロイターのWeb of Knowledgeに追加(小欄記事)。
★インドにも参加を呼びかけた。
★SciELOの発展と共にbiggestジャーナルは営利出版社に買収される恐れがあるが、そうなると残念だ。無料出版は、掲載料を課金するOA出版の問題-適切な査読をしないで多量の論文を掲載-を回避するよい制度だ。願わくは世界がこのラテンアメリカモデルに倣わんことを。