FDA、薬物安全性パイロットプロジェクト本格稼動へ(記事紹介)

2014年09月24日

北米・中南米

米国食品医療局(FDA)の薬物安全性監視システムMini-Sentinel(参考訳:小型監視員)に関する、9月23日付けネイチャー誌記事を紹介する。

1億7千5百万人以上の保健記録を使用する薬物安全性の監視システムMini-Sentinelが、10月1日より本格的に稼動する。

当該システムは、保険会社とヘルスケア提供者が所有する電子媒体の医療データをマイニングし、医薬品の有害な副作用を見つけ、医薬品の安全性を監視する。また蓄積される情報を他の研究目的に活用できないかも検討されている。FDAが1億1千6百万を投じ、2009年から開始された。

FDAは現在、主に治験や副作用に関する自主的な報告によって薬物の安全性の監視を行っている。しかし無作為抽出された治験データを入手するのは費用が高く、さらに薬物が日々使用されるという条件下で得られたデータであるとは限らない。自主的な報告書は必ずしも、薬物反応がどの程度共通性があり、また薬物と薬物反応とを結び付ける揺ぎない証拠を与えるとは言えない。

当該システムでは、ヘルスケア提供者等が所有するデータを分析し、その結果をHarvard Pilgrim Health Care Instituteに報告、当該機関で分析結果をつなぎ合わせ、データを蓄積し、FDAに送るというプロセスを採用している。これにより、患者の個人情報を保護し、外部研究者による独自の判断を防ぐことができるが、他方、あらゆる患者が一つの巨大な母集団に合算されてしまうと、統計的意味が減少してしまうという影響もある。異なるグループの分析結果を統合するにはより高度な方法が必要となる。

Mini-Sentinelのプロトコルは、医療記録を活用した異なる治療法の効果を比較するデータベースの開発等に拡大されつつある一方、データの分析を誰に許可すべきか、また実際の薬物安全性情報として、このシステムから得られたデータをいつ、どのような方法で、公表するかという課題が残されている。

[ニュースソース]

Drug-safety pilot makes the grade - Nature 2014/9/23