ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)はこのたび、nature.comの購読者が論文全文への閲読専用リンクを、メールやソーシャルメディアで共有することができる、個人的、非商業的使用による研究者のコラボレーションを目的とした試験的取り組みを発表した。この取り組みは、論文の共有者と共有される論文が符号化されているリンクを、NPG傘下のDigital Science社のコンテンツ・マネジメント・ツールReadCube内の論文全文につなぐ仕組み。
非購読者は論文のダウンロードや印刷をできないが、論文とReadCube登録者への注釈を付けることができる。さらに、nature.comで公開された論文について最初に報じるニュース・ソースやブログ100サイトは、読者に対し閲覧専用の論文の全文リンクを提供することができる。
Science誌も個人あるいは専門のWebページに無料コピー可能なリンクを提供しているほか、米国物理学会(American Institute of Physics , AIP)も2009年~2012年にUniPHYという同様のシステムを試験的に導入、今後大幅なアップグレードを計画している。また学術出版業界のタスク・フォースは今後数か月以内に共同的論文共有についての報告書を発表する予定である。
著作者はこの仕組みの方がPDFよりも簡単にリンクを共有できるため、セルフ・アーカイブ(ほぼ最終稿をパブリック・アクセス可能なWebサイトに投稿すること)数が減るのではという懸念もあるが、このようなNPG社の共有戦略は概ね歓迎されているようだ。
[ニュースソース]
Articles on nature.com to be made widely available to read and share to support collaborative research - NPG 2014/12/2
[関連記事]
Nature publisher hopes to end 'dark sharing' by making read-only papers free - Science 2014/12/1