オープンアクセス出版のコストについて(記事紹介)

2014年12月26日

ヨーロッパ

英国Jiscがブログに掲載したオープンアクセスに関わるコストについて考察した記事" Unravelling the true cost of publishing in open access"(参考訳:オープンアクセス出版の本当のコストを解明する)を紹介する。

記事より抜粋:

● 英国研究図書館協会(Research Libraries UK:RLUK)の試算によると英国の大学が学術雑誌・データベースへのアクセスに対し支払っている金額は1億9,200百万ポンドでこれは研究助成の4半期予算の10分の1にあたる額である。

● フィンチレポートの発行を受け、ここ2年でハイブリッドジャーナルでOA出版された論文の数は際だった増加を見せている。

● コストを明らかにする際の困難は市場の透明性が低いことに起因しており、購読・論文出版の価格表と各機関が実際に支払う金額はほとんど関係ない現状では、研究機関のハイブリッドジャーナルのトータルコストは購読料とAPCと管理費(APC支払い管理やOA方針遵守の報告に関連する)によって構成されており、実際のコストは多くの人が認識しているよりも高い。

● 大多数のAPCは大学からの購読料を受け取っているメジャーで伝統的な出版社に支払われており、ある機関の話によると、毎年の購読料として28,000ポンド以上を出版社に支払い、12本の論文を同じ出版社から発行するのにトータル21,000ポンドのAPCを支払っている。

● Jisc Collectionsが2007年から2014年にかけて23の英国研究機関から収集したデータを分析したところ、ここ2年間で大学のAPC支払いの件数が著しい増加を見せていることが判明した。多くの大学では2018年までにAPCは2倍以上になると推測している。多数の大学関係者がAPCのボリュームが増えれば購読料を下げるもしくは既存の購読料を考慮しAPCの価格を下げることを希望している。

● Jiscは現在、出版社に対して新しい課金モデルの構築と実行に向けて協力を働きかけており、SAGE、IOP、Taylor & Francisなど、いくつかの出版社はトータルコストを下げることについて合意を示している。Jiscは引き続き建設的な対話を継続しつつ、先行して新しいモデルへの取り組みを始めた出版社の動きを見守っていく。