Jiscにおける研究データ管理に関する課題解決の取組(記事紹介)

2015年03月27日

ヨーロッパ

Research Informationの3月16日付記事”Refining the brightest and best new ideas in research data management”を紹介する。記事では研究データ管理に関して研究者や研究機関が直面している課題に対する実践的な解決法を探るJiscにおける取組”Research Data Spring”について紹介している。Research Data Springは研究ワークフローや研究データ管理・使用をサポートするツール、ソフトウェア、サービスの開発をすすめる関連ステークホルダー間の連携を促進する取組でJiscがこれらの開発実施者に対して助成を行うとしている。当初、Research Data Springには70件のアイデアが寄せられ、内44件が2月末に開催されたワークショップにおいて更に審理された結果、現在研究データ管理に関する多様な課題に対応する27件のアイデアが残っている。
代表的な3件のアイデアは下記のとおり。
・統合研究データ管理システムの構築。このコンセプトはデジタルデータアーカイブサービスプロバイダー”Arkivum”、情報セキュリティサービスプロバイダー”CREST”、UCA芸術大学、リーズ・トリニティ大学、ロンドン・コンピュータ・センター大学による会合から生まれ、研究機関における研究データ管理を単純化し、コンソーシアムやサービスプロバイダーが共有サービスやホストソリューションを生み出すことができるとしている。
・生物医学ツールによるデジタル・ヒューマニティーズ分野データの分析。このアイデアは本来生物医学データの分析に開発されたオープンソースのDataSHIELDツールをデジタル・ヒューマニティーズ分野データ分析への適用を提案している。ブリストル大学、大英図書館、オンタリオ・インスティチュート・キャンサーリサーチは、個人情報やライセンシングなど障壁により機密データのオープンな分析を妨げられてきた研究者に役立つだろうとしている。
・増加する3Dデータのサポートと3Dデータセットの検索、分析、可視化、比較を可能にするアプリとリポジトリの開発。ウェールズ大のチームは海洋学者の洪水のモデリングや、医療研究者の患者データの容積測定など様々な分野で適用できるとしている。
専門委員会による審査を経て、27件の提案から助成をうけるアイデアが選ばれ、7月に開催予定のワークショップにて進捗報告とフィードバックを得ることとなっている。
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