大手学術出版社の寡占化と図書館への影響を取り上げたCBC News 6月15日付け記事“Academic publishers reap huge profits as libraries go broke(試訳:高利益を生み出す大手学術出版社により、図書館は破綻)を紹介する。
この記事は6月10日PLOS Oneに投稿された論文“The Oligopoly of Academic Publishers in the Digital Era(試訳:デジタル時代における学術出版社の少数独裁)”を取り上げ、著者の一人であるモントリオール大学図書館情報学教授へのインタビューを通じ、大手学術出版社の寡占化による問題を考察する。以下記事より抜粋する。
書籍や雑誌出版社がかろうじて生き延びている状況にあって、学術出版社は40%近い利益を上げている。かたやモントリオール大学の年間の雑誌購入費は700万カナダドル(7億円相当)にのぼる。
同論文は1973年から2013年までにWeb of Scienceに掲載された論文4,500万本を基に、分野ごとの出版社の占有状況を分析した。その結果、Reed-Elsevier、Wiley-Blackwell、Springer、およびTaylor & Francisの出版した論文数は1990年代中のデジタル時代の到来以降特に増加している。2013年には、上位5出版社で、全論文の50%以上を占めている。自然科学と医学分野で53%と、1973年から20%も増加し、さらに社会学では70%を占める。
「研究者は名声のために雑誌を必要とし、雑誌は研究者に発見と階層を与える。研究者ではなく、大学図書館が購読料を支払っているため、雑誌へのアクセスに費用を伴うことに多くの研究者が気付いてさえいないことも問題の一つである。物理学の分野ではプレプリント論文を収録するarxiv.orgが1991年から運用され、カナダでも5月1日からオープンアクセス方針が施行され、1年以内の論文の公開が義務付けられた。このような変化が最終的には図書館の購読料支払いへの依存を軽減することに期待したい」と著者は語る。
[ニュースソース]
Academic publishers reap huge profits as libraries go broke - CBC News 2015/6/16