機関リポジトリへの登録増加には図書館からの働きかけが大事(記事紹介)

2015年06月29日

北米・中南米

機関リポジトリによるグリーン・オープンアクセス(OA)推進のためのオレゴン州立大学図書館の取り組みを綴る記事“How can universities increase Green Open Access? Article deposit rates soar after direct solicitation from library.(試訳:大学はいかにグリーンOAを増加させる方法は?論文登録率は図書館の直接的働きかけにより上昇)”を紹介する。この記事は “It Takes More than a Mandate: Factors that Contribute to Increased Rates of Article Deposit to an Institutional Repository” (小欄記事)を基に作成された。以下記事より抜粋。

米国立衛生研究所 (National Institutes of Health, NIH)は2005年、査読を経た最終稿のPub Med Central への12か月以内の登録を「奨励」するパブリックアクセス方針を公表したが、2005-2007年の登録率は7%と低かった。2008年、登録を「要求」して以降、2012年3月までの登録率は75%と飛躍的に上昇した。

大学がOA方針を採用しても、登録率が一律に上がるわけではない。OA方針を無視する例も少なくない。機関リポジトリへの著者稿の登録を増やす最も効果的な方法は、図書館から研究者への働きかけである。2012年1月、オレゴン州立大学図書館はWeb of Science RSSフィードを使用して新規に公開された研究論文を特定し、図書館から研究者に機関リポジトリへの登録を要請する取り組みを始めた。

その結果、取り組み以前の登録率は12.20%であったが、取り組み後44.91%にまで上昇した。これに対しOA方針採用前後の登録率は、採用前44.41%、採用後42.87%とむしろ採用後の登録率の方が低かった。

2015年最初に、論文の機関リポジトリ登録の動機付けとして、どのような機能が有効かを23学部にインタビューした結果、オルトメトリック指標のような論文レベルの指標も有効であることが分かった。オレゴン州立図書館では、助成機関への論文登録を代行するなど、学部に対する付加価値サービスを提供している。