データ引用に関する提言は効果があるか?(記事紹介)

2016年04月05日

ヨーロッパ

3月28日付けDataCiteブログ記事"The Location of the Citation:Are Data Citation Recommendations Having an Effect?"(試訳:引用の位置:データ引用に関する提言は効果があるか)を紹介する。本記事は、2016年2月22-25日アムステルダムで開催された11th International Digital Curation Conference (IDCC16)で発表された研究論文"The location of the citation:changing practices in how publications cite original data in the Dryad Digital Repository"に関するもの。

CrossRefDigital Curation Center(DCC)などは、元データ引用を参考文献リストに記載すべきとする提言を行っているが、データ引用の実際に変化が見られるか否かを調査した。

Europe PMC Open Access APIを介して、2011年から2014年に公開された1,125本の論文について、Dryadデータリポジトリとの関連性を調査した。その結果、提言の通りに参考文献リストに記載されたDryad DOIはわずか6%、本文中に記載があったのは75%、引用なしは20%であった。

参考文献リストでの記載は2011年から2014年にかけて5%から8%に増加、データ引用なしは31%から15%へと減少していた。Dryad DOIが論文中に記載があるものは69%から85%に増加しており、著作者やジャーナルはデータ引用の重要性を認識している。

他方、データ引用がこのペースで増加した場合、2031年でもデータ引用率は90%を超えない計算になる。ベストプラクティスは広まりつつあるが、成長速度は非常に遅い。参考文献リストは元データ引用を記載すべき場所か、データの利用可能性に関する章をより広く推奨すべきか、また元データとデータ再利用について異なる取り扱いとすべきかなどの課題がある。

[ニュースソース]

The Location of the Citation:Are Data Citation Recommendations Having an Effect? - DataCite 2016/3/28