学術的3大ソーシャルネットワークを考察(記事紹介)

2016年04月13日

ヨーロッパ

Times Higher Educationの4月7日付け記事"o academic social networks share academics’ interests?"を紹介する。本記事は、4月15日公開予定の調査報告書"Innovations in Scholarly Communication"を元に、学術的3大ソーシャルネットワークResearchGate、Academia.edu、Mendeleyの企業利益、ユーザーデータ、オープンアクセスを考察するもの。

3大ネットワークが公表する利用者数は、ResearchGate(900万)、Academia.edu(3400万)、Mendeley(900万)とAcademia.eduが圧倒的に多い。しかしこの報告書によると、個人あるいは研究機関の論文検索にはAcademia.eduよりもResearchGateの方が多く利用されている。公表されているユーザー数と調査結果との違いは、Academia.eduは学生による利用数を含むことによると思われる。

この報告書はユトレヒト大学図書館Bianca Kramer氏とJeroen Bosma氏が2015年5月から2016年2月にかけて、2万670人に対して行った調査結果を取りまとめたものである。学術的ソーシャルネットワークは主要プレイヤーとなりつつあり、調査対象者の3分の2はResearchGateを、3分の1はAcademia.eduの利用経験がある。またResearchGateはAcademia.eduより評価が2倍高く、特に中国と日本、科学、シニア研究者の間で、Academia.eduを上回っていた。サイトへの投稿はReseachGate(61%)、Academia.edu(28%)、Mendeley(0.2%)とResearcgGateが最も高かった。

ソーシャルネットワークから集められたデータは研究者の雇用や助成金を決定する上でもその活用が期待されている。英国高等教育財政審議会(HEFCE)が取りまとめた報告書The Metric Tide小欄記事)では、ソーシャルネットワーキングは研究の進捗とインパクトの指標となり得るか、あるいは初期の指標として引用などその後の評価指標と密接に相関しているとしている。

これらソーシャルネットワークはオープンアクセス(OA)の支持者であると表明しているものの、図書館やリポジトリ関係者の中には、ユーザープロファイルデータの再利用、文書のダウンロード、オープンライセンスの方法を使用している点で、標準的OA方針の要件を満たしていないとする声もある。共通のガバナンスに基づいたより倫理的な出版システムが求められており、商業的ソーシャルネットワーキングに代わる、非営利の、研究機関により支援されるプラットフォームの構築に尽力を注ぐべきであるとしている。