欧州研究図書館協会(LIBER)季刊誌LIBER Quarterly 4月号掲載記事"The Costs of Open and Closed Access:using the Finnish Research Output as an Example"(試訳:オープンアクセスとクローズドアクセス:フィンランドの研究成果事例)を紹介する。
抄録
科学論文のオープンアクセス(OA)の動きは欧州連合(EU)と参加国の中で活発化し、主要研究助成機関の方針となっている。科学的成果の情報発信のオープン化の効果に対し、肯定的な研究結果もある。OA出版のビジネスモデルはいまだ発展途上であることから、本稿の目的は、異なるモデルの科学論文の発信にかかるコストを比較するため、フィンランドの図書館が所有する統計ツールとデータを評価することである。OA出版モデルに関係する潜在的コストを分析し、現行のコスト構造、「価格の壁(PW)」と比較した。現行のフィンランドのOA方針とファンディングモデルについても解説する。国立研究図書館統計データベースとフィンランド国立研究論文データベース"Juuli"の統計データに基づき財務分析を行った。科学論文の真のコストを見積もるため、代替的統計ツールの開発方法について検討する。