データから見る若手研究者への圧力(記事紹介)

2016年11月01日

ヨーロッパ

ネイチャー誌10月26日付け記事"Young scientists under pressure: what the data show(試訳:データから見る若手研究者への圧力)"を紹介する。本記事は、苦境に立たされる若手研究者の状況を各種データに基づき考察したもの。

記事より抜粋

  • 2014年経済協力開発機構(OECD)報告書によると、博士号取得者(PHD)数の増加率は、20年前(0.8%)の2倍(1.6%)に増加しているが、仕事数は伸びておらず、例えば米国の新規フルタイム職は年間3,000のみである。
  • 政府助成研究は多くの国において頭打ちで、主な助成機関から研究助成を授与される確率は20%以下である。
  • 若手研究者は研究助成金獲得のための厳しい競争を強いられている。例えば、英国医学研究会議(MRC)の研究助成における若手研究者の獲得率は他の年齢層に比べ低い。
  • より高い年齢層で研究助成が授与され、30年前から大きく変化している、米国立衛生研究所(NIH)は、初めて申請する研究者への研究助成金授与が一定となるような方策を取ってきてはいるが、主な研究助成を初めて授与されるPHDの平均年齢は、2000年から42歳で推移している。
  • ネイチャー誌が実施した調査によると、実際の研究に費やす時間は全年齢層で約40%と、多くの時間を研究以外に費やしている。60%以上は事務処理に掛かる時間が増加していると感じている。ミッドキャリアでは特に事務処理が負担となっており、研究に費やす時間も平均より低い。
  • 若手研究者には多くの課題があるものの、60%以上が自分のキャリアに満足あるいはとても満足していると感じている。しかしより高い年齢層での満足度が最も高い。​