欧州のOA戦略(記事紹介)

2016年11月09日

ヨーロッパ

BIoMed Central10月25日付け記事" European open access strategies"(試訳:欧州のオープンアクセス(OA)戦略)を紹介する。本記事はここ数年に公表された欧州各国のOA戦略を取りまとめたものである。

 <各国のOA戦略の公表> 

欧州委員会(EU)(2012)、英国(2012)、オランダ(2013/14)、フィンランド(2014)、デンマーク(2014)、ドイツ教育研究省(BMBF)(2016)

 <OAの目標>

  • EU加盟国は2016年5月、2020年までにすべての論文をOAとすることで合意
  • ノルウェー教育研究省作業部会は2016年6月、draft National Guidelines for Open Accessで、EUの掲げた目標を支援すると表明
  • オランダは2024年までの出版後即座のOAを100%とし、ゴールドOAが望ましいとしている
  • スウェーデンは2015年1月、ガイドラインの提案書を公表。ゴールドOAへの移行が望ましいとし、2025年までに100%OAとする目標を提示
  • フィンランドは2017年までにゴールドあるいはグリーンのいずれかによるOAを目標とする
  • デンマークは2022年までに全査読論文の100%OAを目標とするが、ゴールドOAによる追加費用が必要なことから、第1にグリーンOAとする
  • フランス等その他欧州諸国もグリーンOAを進める。フランス上院で可決されたDigital Republic bill小欄記事)において、出版社のいかなる権利にも関わらず、STM(科学・技術・医学)は6か月、人文社会学は12か月後OAとする法的権利を著作者に与えるとしている

     
    <OAへの助成>
  • 多くの場合、機関(ノルウェー)、研究助成授与者への資金提供(オランダ)、あるいは研究助成費をOA費に当てることを許可する(フィンランド)など、出版費のいくらかをカバーするOA助成スキームが既にある。
  • これらスキームはすべての研究者を対象とはしていないため、直接的外部資金のない研究者に対する選択肢を検討する必要があるとしている( Swedish proposals、 Norwegian OA working group )

     
    <移行の動機付けあるいは強制>
  • 国レベルで厳密にOAを義務化している国はない。オランダはOAに関する情報提供サイトopenaccess.nlで、「進捗が思わしくない場合、2016年OAを義務化する提案を行う」としている
  • 英国は、OAを研究インパクトの評価Research Excellence Framework(REF)への論文投稿の条件としている。ノルウェーでも同様に、ノルウェー論文指標においてOA出版を別の要素として導入することを提案している
[ニュースソース]
European open access strategies - BioMed Central 2016/10/25