ネイチャー誌11月9日付け記事"The quiet rise of the NIH's hot new metric"(試訳:NIHのホットな新指標が秘かに採用されつつある)は、生物医学分野の助成機関の間で、米国立衛生研究所(National Institutes of Health; NIH)の指標である相対被引用度(Relative Citation Ratio, RCR)を採用する動きが広まっていると報じている。
RCRはNIHポートフォリオ分析室(OPA)が2015年に開発した、さまざまな分野の論文の業績をより公平に比較するツールである。NIH傘下の研究機関のほか、英ウェルカム財団がRCRを採用し、イタリアのFondazione Telethon財団も試験的に導入している。
生物医学分野の助成機関の間では、その分野の論文同士を比較してファンディングを分析し、他の助成機関の助成に対するファンディングスキームの成績を基準に従って評価することに役立つとして、RCRを採用している動きもある。その一方で、独マックスプランク協会はRCRがPubMedのみで適用されてきたという経緯から、複雑で制限が多いRCRは物理学分野の分析ではうまく働かないとして、採用する計画はないという。
しかしRCRは分析ツールとしての支持を固めつつある。米国立総合医科学研究所 (NIGMS)はRCRを使用して、大規模なプログラムと小規模なものへの影響の比較を試みた。助成額の大小に関わらずスコアは類似しており、綿密な調査に役立つとしている。また助成機関200組織の助成金データベースを運営するドイツのソフトウェア企業ÜberResearch社もRCRの採用を発表している(小欄記事)。
[ニュースソース]
The quiet rise of the NIH's hot new metric - ネイチャー 2016/11/9