ネイチャー社はこのたび、透明性の高い査読への取り組みとして行っている10か月間のオープン化スキームの結果を公表した。著者の60%が査読の公開を選択した。本スキームは、2016年1月から受け付けたすべての論文を対象に、著者に対して論文の出版時に査読記録を公開する選択肢を与えるもの。
このスキームの目的は、論文出版時になされる編集上の決定に関する情報を提供することにより、査読プロセスをオープンにすることである。論文について科学コミュニティーの議論の情報を提供し、幅広い読者が論文に対する詳細な評価にアクセスできるようにすることで、査読に対する信用を高めることも期待される。
査読の公開を選択した著者は多様な分野にわたる。オープンな査読が一般的となっている地球科学のような分野ではこの方法を選択する率が高く、物理科学では低かった。
査読者はコメントについて匿名とすることも、名前を付すこともできる。著者が査読の公開を選択した場合、査読者は基本的に匿名による査読報告書の公開に同意しなければならない。査読を拒否する査読者はわずかであり、論文の投稿から出版までにかかる期間にも影響はなかった。
[ニュースソース]
Transparent peer review at Nature Communications is a clear success - Springer Nature 2016/11/10
[関連記事]
Open peer review finds more takers - Nature 2016/11/10