ネイチャー誌11月11日付け記事"AI science search engines expand their reach(試訳:AIベースの検索エンジンが拡大)"を紹介する。本記事は、米シアトルの非営利組織Allen Institute for Artificial Intelligenceが開発した無料のAIベースの学術検索エンジン"Semantic Scholar"を中心に、市場規模が拡大するAIの学術検索エンジンの動向を解説する。
"Semantic Scholar"の2015年11月公開当初の対象論文数はコンピューターサイエンス分野のみの300万件であったが、現在はコンピューターサイエンスと神経科学分野1,000万件にまで拡大した。Google Scholarの対象論文数は2億件であり、価格の壁に阻まれた論文も検索できるが、単なるキーワード検索に留まる。
これに対しSemantic Scholarは、最も意味のある引用を評価し、引用の増加の程度によって論文をランク付けすることができる。次年度はPubMedや全医学論文への拡大を目指す。
他方、マイクロソフト社も5月にMicrosoft Academic Search の後継として、AIの学術検索ツール Microsoft Academicを公開した。このツールは同社のWeb検索エンジンBingのセマンティック検索を搭載し、1億6千万件をカバーする。来年には、注目する論文を検索したり、自分の論文への引用を通知するパーソナライズバージョンを導入すべく開発中である。
また独Max Planck Institute for InformaticsもDeepLifeと呼ばれる保健・生命科学に特化した検索エンジンを開発している。