文献謝辞から得られた助成データ: 範囲、活用、限界(論文紹介)

2017年01月04日

ヨーロッパ

Journal of the Association for Information Science and Technology掲載予定の論文"Funding Data from Publication Acknowledgments:coverage, Uses, and Limitations"(試訳:文献謝辞から得られた助成データ: 範囲、活用、限界)を紹介する。

抄録:

本論文は、政策立案に有用な助成状況を作成する新たな手法の頑健性と比較可能性を調査することにより、研究助成システムを分析する方法の開発に寄与する。2011年に発表された英国のがん研究を代表する文献7,510件の助成謝辞について、手作業で抽出・コード化した新たなデータセットを用い、これらの「参照データ」を、Web of Science (WoS)とMEDLINE/PubMedによる助成データと比較した。本調査の結果から、WoSの助成データの再現性が高い(約93%)ことが示された。対照的に、MEDLINE/PubMedデータでは、少なくとも1つの助成機関に謝意を示す英国がん文献は半分以下であった。逆に、両データベースの精度は高かった(+90%):すなわち、助成機関への謝辞のない論文が資金データを有するものとして識別されることはほとんどなかった。にもかかわらず、英国がん文献で謝意を示された助成機関は、MEDLINE/PubMedとWoSでは、それぞれ約75%、32%と正確に記載されていなかった。英国がん研究助成システムの参照データは、戦略的情報アプリケーション(例:助成状況と共同出資のマッピング、助成機関の研究ポートフォリオの比較)への助成データの利用を示すケーススタディーとして使用される。