プレプリントは助成金申請にふさわしいか?(記事紹介)

2017年01月19日

北米・中南米 ヨーロッパ

プレプリントを助成金申請に含めるべきかを考察する、TheScientist誌1月6日付け記事"Do Preprints Belong in Grant Applications?"(試訳:プレプリントは助成金申請にふさわしいか)を紹介する。

英国医学研究会議(MRC)は1月3日、確立したプレプリントサーバーでの査読前論文の共有を奨励し、助成やフェローシップの申請においてプレプリントの引用を認めると発表した(小欄記事)。他方、米国立衛生研究所 (National Institutes of Health, NIH)は2016年10月6日、助成金申請や報告書にプレプリントを含めるか否かについて情報依頼書(RFI)を発行した。

NIHのRFIに対し、30学会、12万5,000人の研究者を代表する米国実験生物学連合(Federation of American Societies for Experimental Biology 、FASEB)は、現時点ではプレプリントを申請に含めることは支持しないとする回答をNIHに提出した。理由として、査読のない論文をレビュアーはどの程度重視するのか、あるいは提出される研究に対する申請者への指導について、NIHはレビュアーに対しどう指示するのかがわからず、また研究の厳格性と再現性に思わしくない影響を与えることが懸念されるからだとしている。

このFASEBの回答に対し若手研究者からは、次のような意見が出ている。「助成金を得ることが困難な環境にあって、早期キャリアの研究者はプレプリントを使用して研究の進捗を示すことができる。懸念はいくつかあるものの、若手研究者の業績を示すにはよい方法であると認識している」。

arXivの制作者であるPaul Ginsparg氏は2016年10月に The EMBO Journalに次のようなコメントを投稿している。「プレプリントは申請者の業績や助成金獲得状況を示す職務経歴書の中で、最新の成果を示す証拠として使用されている。プレプリントに関連性を見いだせないのであれば、無視すればよいだけのことである」。

NIHのRFIの提出期限は2016年11月29日であったが、NIHからはまだ何の情報も公表されていない。

[ニュースソース]

Do Preprints Belong in Grant Applications? - TheScientist 2017/1/6

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Support the option to cite preprints in NIH grants - ASAPbio 2017/1