NIH助成は意外な経済効果を生んでいる(記事紹介)

2017年04月07日

北米・中南米 ヨーロッパ

ネイチャー誌3月30日付け記事"NIH research grants yield economic windfall"(試訳: NIH助成は意外な経済効果を生んでいる)を紹介する。本記事は、3月30日にScience誌に掲載された報告書"The applied value of public investments in biomedical research"(試訳:生物医学研究における公的投資から得られる実際的効果)(pdf:9ページ)を取り上げたもの。

報告書の著者らは、1980年から2007年の間にNIHが助成した36万5,000件を調査し、基礎研究と応用研究のどちらがより多くの特許を牽引しているかを考察した。調査の結果、以下の結果が得られた。

・NIH助成による生物科学研究の8.4%は直接的に特許につながっていたが、その3倍以上(30.8%)がその後、医薬品、医療器具、あるいはその他の医療技術の商業的特許において引用されており、NIH助成研究は経済的な波及効果を生み出している。

・論文がその後商業的特許で引用される波及効果を考慮すると、1億ドル(約110億円相当)当たり23件の特許を産出し、助成額1ドル(約110円相当)につき医薬品の売り上げ1.40ドル(約154円相当)につながっていると試算される。

トランプ政権は18%(58億ドル(約6,400億円相当))ものNIH予算のカットを提案しているが、経済的観点からすれば、「NIHの予算カットによってより良い方向に向かう、という考えはばかげている」と著者らはコメントしている。

[ニュースソース]

NIH research grants yield economic windfall - ネイチャー 2017/3/30

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