ネイチャー誌3月29日付け記事"Five ways consortia can catalyse open science"(試訳:コンソーシアムがオープンサイエンスを促進する5つの方法)を紹介する。本記事はEarthCube イニシアチブの一環として、50の共同研究を対象にStakeholder Alignment Collaborativeが行った調査から、コンソーシアムがオープンサイエンスを促進する上で、成功するための秘訣を指摘する。
EarthCubeは、地球・惑星科学における情報システム、データベース、ソフトウェア、ツールといったサイバーインフラストラクチャーの構想と開発を目的とした、米国立科学財団(NSF)助成によるイニシアチブ。
Stakeholder Alignment Collaborativeが提示する方法は以下の5点。
- 中間位置から構築する:共有を促進する新しい分野横断的な組織を正当化する。学会、助成機関、出版社、学術部門は、上からの指示と下からのアクションを調整する中間的位置付けとする。「トップダウン」あるいは「ボトムアップ」型イニシアチブで足りると考えない。
- 共通のビジョンを構築する:利害関係者がゴールとアイデンティティを明確に表明できるような働きかけをする。問題点についてすべての利害関係者が合意していると考えない。
- 多様性、関心の変化を許容する:定期的にニーズをマッピングし、共通のビジョンを調整、維持する。利害関係者のニーズが同じであるとか、ニーズが変わらないと考えてはならない。
- 影響力を拡大する:新しい形態の協力体制の構築を許容する。コンソーシアムメンバーの独立性を弱体化させない。
- 共進化する:社会・技術システムを新たなニーズとプラクティスに適応させる。構築したシステムに利用者が付いて来ると思わない。
科学は次第に協調的活動となっているが、社会・技術的基盤は立ち遅れている。オープンサイエンスへの転換は政策声明やボランタリーな活動、あるいは学術部門によってのみ決定されるのではない。複数の利害関係者のコンソーシアムは、これら5つの方法に従うことで根本的な促進者となり得る。
[ニュースソース]
Five ways consortia can catalyse open science - ネイチャー 2017/3/29