エルゼビア社とライデン大学Centre for Science and Technology Studies (CWTS)は4月5日、 研究者の研究データに対する態度を分析した調査報告書"Open Data:the Researcher Perspective"(試訳:オープンデータ:研究者の態度)(PDF:48ページ)を公開した。
本報告書は、計量書誌および出版データの定量分析、1,200人の研究者に対する調査、土壌学、人類遺伝学、デジタル・ヒューマニティーでデータ収集、分析、保存に携わる研究者との面接調査を含む3つの事例研究で構成される。
主な結果は以下の通り;
- 73%は研究データへのアクセスは研究の役に立つと回答しているものの、34%はデータ出版をしていない。オープンデータの便益を認識しているものの、データ共有の実践は限定的である。データ共有のトレーニングが十分ではない、データ共有にはクレジットや報酬がない、研究データ管理とプライバシーの問題、所有権や倫理面の問題を理由として挙げている。
- 助成機関(あるいは出版社)のデータ共有の義務化が、研究者のデータ共有の実践を牽引するとは考えられない。研究者の64%は自ら行った研究から生じたデータの所有権は自らが所持していると考えている。
- 公的なデータ共有は主として、現行の出版システムにより行われている。データリポジトリでデータ共有を実践する研究者は15%以下である。データを直接共有する場合、多くは(>80%)共同研究者と直接的に共有している。
- 34%はまったくデータを出版していない。データを表や添付文書に記述するなどの従来からある方法が取られている。
- データジャーナルでのデータ出版状況を分析したところ、データセットの引用に一貫性がないことがわかった。専門のデータジャーナルは新しく、また小規模な現象ではあるが、急速に普及している。
- 出版されたデータの引用基準について、基準が明確ではない(45%)、明確な基準がある(41%)と研究者の中では意見が2つに分かれた。
- データ共有を実施するかは分野によりけりで、一般的な方法はない。データ共有が盛んな分野では、データ共有は研究デザインと実施手順に組み入れられている。
[ニュースソース]
73% of Academics Say Access to Research Data Helps Them in Their Work; 34% Do Not Publish Their Data - CWTS 2017/4/5