フランスの研究者のOAに対する意見と態度(調査報告書)

2017年04月18日

ヨーロッパ

​フランス国立研究センター(CNRS)が2014年に行った科学技術情報・文書に関する全国調査の結果を考察した報告書"Ready for the future? A survey on open access with scientists from the French National Research Center (CNRS​)"(試訳:将来への備えは?研究者に対するオープンアクセスに関するブランス国立研究センター(CNRS)調査)(pdf:11ページ)を紹介する。以下、抄録より抜粋する。

本稿は、科学技術情報へのオープンアクセス(OA)についての、フランスのシニアマネジメントレベルの研究者の意見と態度を実証的に証明することを目的とし、フランスの公的研究機関に所属する432人の研究ディレクターを対象にフランス国立研究センターが2014年に実施した科学技術情報・文書に関する全国調査の結果を考察する。

調査結果から、OAに対するシニアの研究マネジャー(研究ディレクター)の意見は肯定的であるが、OAジャーナル出版(ゴールド)よりも、オープンリポジトリ(グリーンロード)をより支持している。OAに対して概して肯定的な意見と、論文掲載料(APC)を伴う論文出版に対する態度には開きがある。グリーンあるいはゴールドに関心がなく、セルフアーカイブやOA出版に対して消極的なグループもあった。他の調査同様に、この調査においても分野による違いが見られ、生物学、地球科学、化学よりも、数学、物理学、情報学はHAL(CNRSが運営するオープン・アーカイブ)でのセルフアーカイブを強く支持している。生物学は、数学あるいは社会人文学よりもOA出版やAPCに好意的であり、またその経験もある。特にオープンサイエンスを支持する新しい欧州の政策的背景における分野による違いやフランス特有の要素を考察する。