Scholarly Kitchen4月18日付け記事"The Stars Are Aligning for Preprints"を紹介する。本記事は、プレプリントへのDOI付与、助成機関のプレプリントへの期待、新しいサービスの導入と、2016年に注目を集めたジャーナル投稿前の著者原稿プレプリントの動向を取りまとめたもの。以下、記事より抜粋する。
高エネルギー物理学コミュニティーではプレプリントサーバーarXivは、正式な出版前に論文をレビューし、フィードバックを受ける手段として、成功を収めている。arXiV投稿論文は高い確率でWeb of Scienceに収録され、インパクトファクターを持つ公式ジャーナルで確実に出版されている。
物理学分野とは対象的に、生物科学や医学などは遅れを取っていたが、Bioxiv、F1000 Research、PeerJ、The Winnower、Preprints.orgなどの導入により、2014年以降プレプリントの公開件数が大きく伸びている。中でもWellcome Open Research(小欄記事)は2016年11月に導入された最も新しいサービスである。
Jordan Anaya氏が検索エンジンPrePubMedで集めたデータを集計した生物学のプレプリントの公開件数が、生物科学分野のプレプリント・セントラルサービスASAPbio(小欄記事)に掲載されている。
記事は、2017年は「プレプリントの年」としつつ、以下の課題を挙げている。
・学術出版のライフサイクルの中にプレプリントを位置付けるため、各分野で何が必要か
・プレプリントが多く採用されると、版管理にどう影響するか
・このような動きは図書館や研究機関のリポジトリにどう影響するか
・多くの出版社が投稿の可能性を見極め、採用する手段となるか
・プレプリントは負の結果の公開の解決方法となるか
・学術レビューと雇用委員会がプレプリントを彼らの一連の作業の一部として認識する転換点に達するにはどの程度時間がかかるか