中国の新たな研究評価ポリシーの要点と展望(記事紹介)

2020年06月26日

アジア・オセアニア ヨーロッパ

Elsevier社は、6月23日、"Changing research evaluation policies in China — insights and impacts"と題する記事を公開した。

本記事は、Elsevier社が5月に開催した、中国の教育部および科学技術部が中国国内の研究機関に通告した新たな研究評価ポリシー※に関するウェビナーにおける、Shuai Yan氏(中国の出版コンサルタント)とChristos Petrou氏(Scholarly Intelligence社の創業者兼チーフアナリスト)の議論を要約したもの。

本記事は、新たなポリシーの要点として、研究評価が基礎研究と応用研究とに分けて行われ、基礎研究については代表論文システムを導入し1/3以上の論文を国内ジャーナルで発表する必要があることや、高品質な論文は「国際的な影響力のある国内の科学技術系ジャーナル」「高い評価を得ている一流の国際ジャーナル」「国内外の主要な学会」で発表された論文とされていることを紹介。

Yan氏は、論文の評価において質とインパクトが重視されることや、特に重要なポイントとして、影響力を持つジャーナルや主要な学会の選定を大学および研究機関の学術委員会が行うなどと発言したことを示している。

また、Petrou氏は、中国の研究成果が世界の学術ジャーナルで発表された論文の20%を占めることから、本ポリシーは世界にも大きな影響を及ぼすと指摘。その一方で、国内ジャーナルの進歩、ScopusやWoS(Web of Science)のようなデータベースの整備など、独自のツールや標準の作成に多大な時間を要する可能性があるため、本ポリシーの浸透や影響拡大には時間がかかるだろうなどと発言したことを示している。

※本ポリシーには、論文出版に対する金銭的報酬の禁止や研究者の昇進や採用の際にSCI(Science Citation Index)などにおけるジャーナル掲載数のみに依存した研究評価をしないよう求める内容が盛り込まれている。

[ニュースソース]

Changing research evaluation policies in China — insight​​s and impacts ― Elsevier 2020/06/23 (accessed 2020-06-25)

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