STM(International Association of Scientific, Technical and Medical Publishers、国際STM出版社協会)は、2月3日、cOAlition SのRRS(Rights Retention Strategy、権利保持戦略)※に対する声明を発表した。
STMは、cOAlition SによるOA(オープンアクセス)の拡大および多様なPlan Sへの準拠ルートを通じた研究者へのサポートは支持するが、現行のRRSを支持できないと主張。
声明の中で、現行のRRSの問題点として、購読やAPC(論文掲載料)を通じて支払われる出版社のサービス(原稿のチェック・校正・編集・査読など)の対価が減り、財政を維持することが困難になること、OAジャーナルへの潜在的な支持基盤を弱体化させる可能性があること、VoR(Version of Record) ※の完全性を損なう可能性があることなどを示している。
また、多くの出版社は著者に対して、再利用に関するライセンスとともにリポジトリへのVoRの掲載を許可するオプションを提供しているが、これを包括的なポリシーとするのではなく、ジャーナルごとの判断に委ねるべきと主張している。
※cOAlition Sの参加機関がPlan Sの促進に向けて、最低でもAAM(Author Accepted Manuscript、著者最終稿)をCC BYの下、即時OAで公開することを研究者への助成要件に盛り込ことなどを示した戦略。
※査読、レイアウトの調整、校正などの工程を経た正式な論文。
[ニュースソース]
Signatories publish statement on Rights Retention Strategy ― STM 2021/02/03 (accessed 2021-02-12)
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2020年07月20日 cOAlition S、"Plan S Rights Retention Strategy"を策定