学術・専門分野の非営利出版者をサポートするALPSP(Association of Learned and Professional Society Publishers、学協会出版者協会)は、8月11日、UKRI(UK Research and Innovation)の新たなOA(オープンアクセス)ポリシーに対する懸念を表明した。
ALPSPは、同ポリシーがこれまでのOA化の進展に悪影響を及ぼすことを懸念しており、助成を受けた論文がハイブリッドジャーナルに掲載される機会を制限することは、論文の掲載場所の選択の制限につながるため、学協会の著者にとって有益ではないとしている。
また、ALPSP会員、特に小規模出版社にとっては、ハイブリッドジャーナルからゴールドOAへ移行するTA(Transformative Agreement、転換契約または移行契約)は設定と維持が複雑なため難しく、UKRIから助成を受けた著者がそれらのジャーナルを選択しないことも考えられるという。
さらに、CC BYライセンスの下でゼロエンバーゴのAAM(Author Accepted Manuscript、著者最終稿)の出版を義務化することは、査読などの付加価値のある出版サービスを含めた、学協会の重要な投資を軽視していると指摘。それにより起こりうるVoR(version of record)の質の低下やOA化促進の鈍化、英国の出版業界全体への負の影響などへの懸念も表明した。
[ニュースソース]
ALPSP Copyright Committee responds to UKRI Open Access Policy ― ALPSP 2021/08/11 (accessed 2021-08-18)
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2021年08月12日 UKRI、新たなOAポリシーを発表