RoRI(Research on Research Institute)※は、12月6日、調査報告書"Scholarly communication in times of crisis:the response of the scholarly communication system to the COVID-19 pandemic"を公開した。
本報告書は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によるパンデミックへの学術コミュニティーの対応の調査を目的に行われた。2020年1月にWellcomeが発表したCOVID-19関連の研究成果およびデータの迅速な共有に関する声明および、同年4月にOA(オープンアクセス)出版社などによるCOVID-19関連研究の査読迅速化のためのイニシアチブの意向がどの程度守られたかを専門家らによるプロジェクトチームが調べた。
その結果として、COVID-19に関する論文について、査読済み論文の約90%がOAまたはフリーアクセスになっていること、多くのジャーナルにおいて査読が迅速に行われたこと、プレプリントで多くの論文が発表された一方で、査読後に出版された論文に対するプレプリントは本調査では5%しかみつからなかったこと、またステークホルダーは研究成果を共有する意向は示しているがそのための共同作業はあまり行われていないことなどを示している。
結論として、学術コミュニケーションの改善は共同責任であり特効薬は存在しないため、システムを変えるためにはステークホルダーがより集中的に協力する必要があると説明している。
※研究の計画性・公開性・多様性・包括性の向上を目的とした13の国・地域の21パートナーから成るコンソーシアム。
[ニュースソース]
Commitments to early sharing of research and data during the pandemic fall short:collaboration is the missing ingredient ― RoRI 2021/12/06 (accessed 2021-12-09)
Scholarly communication in times of crisis:the response of the scholarly communication system to the COVID-19 pandemic ― RoRI 2021/12/06 (accessed 2021-12-09)
[小欄関連記事]
2020年05月01日 複数のOA出版社など、COVID-19関連研究の査読迅速化のためのイニシアチブを立ち上げ
2020年02月07日 Wellcome、「新型コロナウイルス関連の研究成果およびデータの迅速な共有に関する声明」を発表
2020年01月09日 DORA、2019年における研究評価の発展に資する取り組みトップ10を公開