Nature誌は、12月13日、"What Sci-Hub's latest court battle means for research"と題する記事を公開した。
本記事は、インドで行われている、論文海賊版サイト"Sci-Hub"が同国の著作権法に抵触するかどうかを精査する裁判における原告および被告の主張などを取り上げたもの。
原告であるACS(American Chemical Society、米国化学会)、Elsevier 社、Wiley社は、同サイトが科学データベースなどに不正にアクセスし、ジャーナル論文や電子書籍を違法に抽出しているとし、同国のインターネットサービスプロバイダにサイトへのアクセス遮断を命じるよう裁判所に求めている。これに対し被告側は、同国の法律では科学や教育に資料(material)が必要な場合、また研究を含め個人的な使用の場合'fair dealings'にあたり、著作権は適用されないと主張している。
記事では、同国の著作権法に基づいて裁判所がSci-Hubに有利な裁定を下す可能性があることや、その場合には出版社がビジネスモデルの見直しを迫られ、同サイトへのアクセスを遮断している複数の国の対応にも影響を及ぼす可能性があることなどを示している。また、Sci-Hubを支持する科学者などは嘆願書を裁判所に提出したという。
本裁判は長引くと専門家は予想しており、裁判官が著作権法上の誰の権利を重視するかが判決のかぎとなると記事は指摘している。
[ニュースソース]
What Sci-Hub's latest court battle means for research ― Nature 2021/12/13 (accessed 2021-12-15)
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