増え続ける論文の撤回。過去10年で撤回プロセスに劇的な変化があった一方でいまだ解決していない問題も(記事紹介)

2022年08月09日

北米・中南米

​Nature誌は、8月2日、"Retractions are increasing, but not enough"と題する記事を公開した。

本記事は、2010年に開設された、ジャーナルや研究機関などでの論文撤回を追跡するブログ"Retraction Watch"の12年を振り返りながら、撤回プロセスの変化や解決すべき問題などを示したもの。

1ジャーナルあたり月3件程度という創設者の当初予想を上回り、Retraction Watchの開設年には月平均45件、2021年には約300件の論文が撤回されたことを紹介。論文の50件に1件はCOPE(Committee on Publication Ethics、出版倫理委員会)が定めた撤回要件の1つ以上に該当している一方で、撤回された論文はその0.1%未満にとどまっていることを示している。

また、過去10年における撤回プロセスの劇的な変化により、ジャーナル出版社や編集者による批判の封殺や秘密裏な記録の訂正などが困難になったことや、論文への批判に対応する専門スタッフの雇用、STM Integrity Hubを通じた不正行為検出技術の共有など出版社・ジャーナルの対応の変化について記している。

そのほかに、論文を撤回するプロセスはいまだにスピード感がなく不透明であり、撤回された論文を引用し続ける事例が後を絶たないこと、同問題に対して出版社がとるべき対応のほかに、告発者に報償を与えることや誤りを認め誠実に対応する研究者には研究機関が適切に評価することなどを提言している。

[ニュースソース]

Retractions are increasing, but not enough -- Nature 2022/08/02 (accessed 2022-08-08)

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