The Economist誌に、公的助成金や義援金による研究成果のオープンアクセス(OA)義務化を支持する記事"Open sesame"が掲載された。
(記事内容)
●有力な学術誌の講読には多額のお金がかかる。が、出版社は大儲けだ。コンテンツを原則無償で提供・査読してくれる研究者のいる大学へ売れるから。公的助成研究論文ですら納税者が読むにはお金がかかる。馬鹿げた話だし、教育・研究の妨げにもなる。
●「学術誌の質の確保や出版プロセスの管理にはお金がかかる、利益率が高いのは高効率の証」と出版社は弁明するが、学術誌制作費はインターネット利用で下げられるはず。僅かな予算で運営するオンライン誌やリポジトリが増えたが、出版社のやり方に納得できない研究者が立ち上げたものもある。既存誌の編集委員全員が辞め、安くてアクセス制限の少ない学術誌を発刊した例もある。
●とはいえ、現存誌を追い払うのは難しい。研究者は有力誌に論文掲載して出世を望むし、ジャーナル側としては、論文は選り取り見取りで、講読需要が衰えないからだ。こうして強い価格決定力を保つ。ではどうすればよいのか。
●論文アクセスを増やし新刊誌のハンディを無くするには、政府機関や慈善団体が、助成研究の成果公開を義務付け、closed access誌に掲載できないようにすればよい。
●明るい兆しもある。英国政府のOA義務化計画、ウェルカム財団のOA厳格化、米国立衛生研究所(NIH)OA方針に対する骨抜き法案の頓挫など。OA義務化は全ての助成研究成果を対象とせよ。
●出版社にとって助成研究成果のOA義務化はハルマゲドンではない。研究者が自分のウェブサイトに論文を掲載することを認めたり、有料を期限付きにするなど、一定の方法でOA化を始めたところもある。OA義務化で拍車がかかるだろう。学術誌の目的は研究成果を広めることだが、逆行したのもある。もう改める時だ。
[ニュースソース]
上述